誰の体にもあるほくろやシミ。しかし「ほくろやシミだと思っていたものが、実は皮膚ガンだった」ということもあるんだとか。
今回は、ほくろやシミと皮膚ガンの見分け方や、皮膚ガンになりやすい人の特徴などについて、たかはし皮膚科クリニックの院長・理事長である髙橋謙氏に聞きました。
皮膚ガンとは一般的に体の表面、皮膚に出てくる悪性の腫瘍のことです。
皮膚の腫瘍には良性と悪性があります。いずれも皮膚の表面にでき隆起してきますが、次のような違いがあります。
ある一定の大きさで留まるものは、良性の腫瘍だと言るでしょう。良性の腫瘍には、ほくろ、軟性線維種(スキンタグ:首・首の周りによく出てくるいぼのようなもの)、脂漏性角化症(老人いぼ)と呼ばれる隆起性のシミなどがあります。
一定の大きさに留まらず、際限なく大きくなり、転移する(他の場所へ飛んでいく)ものが悪性の腫瘍とされています。
代表的な悪性腫瘍として、
・悪性黒色腫(メラノーマ):メラノサイト(色素細胞)が悪性化して生じる(←要チェック)
・ボーエン病:湿疹が悪くなったような状態で生ずる
・パジェット病:陰部や乳房に出てきやすい
・有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん):火傷の痕などから生じる
・基底細胞癌:黒っぽい色を呈することが多く、高齢者の顔、特に鼻・頬部・眼瞼にできやすい
が挙げられます。
他にも、悪性リンパ腫や肉腫など、皮膚ガンの種類はさまざまです。
ガンに移行しやすい前癌状態である、日光角化症も日常診療で見かけます。日光角化症はシミ状で部分的にやや盛り上がりのある、かさぶたのような皮膚病変です。
皮膚ガンの原因として、頻度的に多いのが日光への暴露(ばくろ:さらされること)です。
ヒ素など化学的な刺激物質への、長時間の暴露が原因になるケースもあります。化学的な刺激には、酸のように直接刺激感があるものと、アルカリのように刺激を感じないものがあります。
いずれの場合も、皮膚で起こった炎症が長期間続くことが、ガンの原因となります。長期の炎症では頻回に細胞の入れ替わりが起こりますが、その際に異常な細胞が誤って作られ、ガン細胞ができていきます。
上記の通り、皮膚ガンの原因は日光への暴露が最も頻度が高いです。慢性的に日光にさらされやすい環境にある人は、皮膚ガンになりやすいと言えるでしょう。
ヒ素などの化学薬品に長時間曝されやすい環境にある人も同様です。職業的に化学薬品にさらされる人は高リスクだと考えられます。
しかし近年、化学薬品については公衆衛生学でいろいろなことが分かっており、厳重に管理されているはずです。そのため、職業上の化学的刺激の暴露による皮膚ガンは生じにくくなっています。
しかし趣味などで、個人的に化学薬品などに長時間暴露する機会がある人は、リスクが高まります。
また、比較的広範囲でかつ重症度の高い火傷を負い、火傷跡として長時間経過しているケロイドを持った方は、皮膚ガンのリスクが高くなると知られています。
日頃から日焼け止めをしっかりと使用するなどして、日光への長時間の暴露を避けることが、皮膚ガンの予防につながります。
化学薬品なども同様で、長時間の暴露を避けるのが大事です。化学薬品には発ガン性の有無などの記載があるので、確認するのがよいでしょう。
早期発見に関しては、隆起性の皮膚異常や、ほくろ、シミのようなものが、数か月単位で明らかに拡大していないかの観察が大切になります。
ほくろやシミといった良性腫瘍と、皮膚ガンの見分け方については、次のことも参考にしてください。
左右対称で、色調が一定、短期間での明らかな拡大などがないほくろは、良性の可能性が高いです。発毛があるほくろでは、さらにリスクは下がります。
しかし、手掌・足底にあるほくろだと思っていたものが、悪性腫瘍だったというケースは比較的多いです。手のひらや足の裏のほくろも、上の見分け方と照らし合わせながら注意してもらうと良いと思います。
シミと悪性腫瘍の見分けに関しては、色調が薄くて一定、隆起がほとんどなければ良性の可能性が高いです。
良性腫瘍でも、隆起性の脂漏性角化症(老人イボ)は、不均一に隆起することがあります。細かく見たときに角質栓などがあれば悪性の可能性は低くなりますが、自己判断は難しいかもしれません。
皮膚ガンには、自覚症状を伴わないものも多いです。心配であれば皮膚科受診をするのがいいでしょう。
いずれの皮膚ガンも治療は可能です。治療は手術による切除が基本となります。
ガンの治療はその深達度(深さ・広がり・リンパ節や全身への転移)を、CTやMRIなどの画像検査で評価した上で行います。そのため、治療は大きい病院の皮膚科や形成外科で行います。
また前述の前癌状態である日光角化症に関しては、液体窒素による治療や外用剤による治療法があります。
教えてくれたのは・・・
髙橋謙 院長
1999年大阪医科大学(現大阪医科薬科大学)卒業、東京女子医科大学循環器内科へ入局。その後、大阪府下で有数の患者数を誇った実家クリニック(元髙橋内科皮膚科クリニック、現在は閉院)の継承を念頭に様々な疾患を診られるよう、2004年に京大病院総合診療科へ入局。専門科に割り振れない、様々な疾患(難病・奇病)の診療を経験し、2006年に関西電力病院総合内科へ入局。日常診療に加え、研修医・医学生への指導にも当たる。2009年に髙橋内科皮膚科クリニックへ所属し、大阪市立総合医療センター皮膚科にて研修を行う。その後、髙橋内科皮膚科クリニックにて皮膚病疾患診療の研鑽を積み、2015年12月にたかはし皮膚科クリニックを開業。現在は1日当たり80~130人の患者さんの診療にあたっている。
髙橋謙 院長
1999年大阪医科大学(現大阪医科薬科大学)卒業、東京女子医科大学循環器内科へ入局。その後、大阪府下で有数の患者数を誇った実家クリニック(元髙橋内科皮膚科クリニック、現在は閉院)の継承を念頭に様々な疾患を診られるよう、2004年に京大病院総合診療科へ入局。専門科に割り振れない、様々な疾患(難病・奇病)の診療を経験し、2006年に関西電力病院総合内科へ入局。日常診療に加え、研修医・医学生への指導にも当たる。2009年に髙橋内科皮膚科クリニックへ所属し、大阪市立総合医療センター皮膚科にて研修を行う。その後、髙橋内科皮膚科クリニックにて皮膚病疾患診療の研鑽を積み、2015年12月にたかはし皮膚科クリニックを開業。現在は1日当たり80~130人の患者さんの診療にあたっている。
取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部
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